計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

ビジネススキル

ステークホルダーを巻き込んだ計画は期待以上の成果を引き出す(2/2)

前回の話を軽く振り返りましょう。 生産計画部は、恒常的な生産日程の遅れに苦しんでいました。その原因は上流である設計部の日程遅れにありました。 生産計画部は以下の方法で課題解決に取り組みました。 納期からの逆算で日程を積み上げることで設計期限(…

ステークホルダーを巻き込んだ計画は期待以上の成果を引き出す(1/2)

ゴールを達成するために立てるのが計画ですが、私が著書のタイトル「実行に効く 計画の技術」に思いを込めたように、実行をどれほど効果的なものにできるかが計画の良し悪しを決めます。 大切なのは、計画の中で図られる、ステークホルダーたちの巻き込みで…

現状打破を目指すなら、欧米の成功事例を日本向けにアレンジしよう(3/3)

3回構成でお届けしている今回のテーマですが、今回はその最終回です。 1回目では、欧米企業の成功事例を日本企業が導入する際の心構えについて書きました。 欧米企業と日本企業では文化や価値観が違うので、欧米のベストプラクティスを参考にして変革を進め…

現状打破を目指すなら、欧米の成功事例を日本向けにアレンジしよう(2/3)

前回は、欧米企業の成功事例を日本企業が導入する際の心構えについて書きました。 欧米企業と日本企業では文化や価値観が違うので、両者のギャップを理解することから始めなければなりません。その上で、実装段階には、日本企業の良さをうまく仕組みに埋め込…

現状打破を目指すなら、欧米の成功事例を日本向けにアレンジしよう(1/3)

前回までのブログでは、欧米企業の成功事例を鵜呑みにしてはいけないという話をしました。有無を言わさず無理やりに導入したところで、逆にこれまで培ってきた日本企業の良さまでもが破壊され、逆効果となります。 私はコンサルタントになりたてのころから、…

「成功事例を鵜呑みにする」は計画嫌いゆえの失敗だ(3/3)

3回目で最後となる今回の話に入る前に、これまでの2回を簡単に振り返ることにしましょう。 日本企業はかつて欧米の先進企業を模倣して成長してきました。欧米の進んだ技術を学び、それを日本人の工夫と情熱でさらに発展させ、ついには世界のトップに君臨した…

「成功事例を鵜呑みにする」は計画嫌いゆえの失敗だ(2/3)

前回は、日本企業の失われた30年について話しをしてきました。 私は、バブル崩壊後の日本企業の低迷がこれほど長く続いている理由のひとつは、日本企業が後先を考えず、欧米企業の成功事例の猿まねに走ったことだと考えています。 「うまくいっている人たち…

「成功事例を鵜呑みにする」は計画嫌いゆえの失敗だ(1/3)

私は職業柄、お客様の変革活動に関わることがよくあります。 そんな私が20年以上も前から感じている問題意識について書きます。 その問題意識というのがこれです。 「欧米の成功事例を鵜呑みにして失敗を重ねる日本企業の愚かさ」 私たちの身近にある日本企…

決めない人たち “決められない”と“分からない” は違う(2/2)

今回は「決めない人たち “決められない”と“分からない” は違う」の2回目です。 コンサルタントの立場で計画をお手伝いしていると「まだ、どうなるか分からないので、計画できません」という発言を頻繁に耳にします。 そんな人たちは、情報不足を言い訳の材料…

決めない人たち “決められない”と“分からない” は違う(1/2)

計画力強化は私の数あるコンサルティングメニューのひとつです。 計画をお手伝いしていると「まだ、どうなるか分からないので、計画できません」という発言を耳にします。しかも、これがかなり頻繁なのです。 こんなとき、私はいつも、心の中でこう思います…

結果を出すリーダーは大雑把な情報や未確定の情報の扱いが上手い(3/3)

世の中がリードタイム短縮の方向に向かう中で、製品開発はもとより、さまざまな分野で計画のあり方に工夫が求められるようになってきました。 ところが、多くの人たちは工夫をせず、闇雲にこの問題に取り組んできました。工夫を伴わない無理なアプローチはこ…

結果を出すリーダーは大雑把な情報や未確定の情報の扱いが上手い(2/3)

世の中がリードタイム短縮の方向に向かう中で、製品開発はもとより、さまざまな分野で計画のあり方に工夫が求められるようになりました。 ところが多くの人たちが、なんの工夫もせず、闇雲にこの問題に取り組んできました。工夫を伴わない無理なアプローチは…

結果を出すリーダーは大雑把な情報や未確定の情報の扱いが上手い(1/3)

世の中がリードタイム短縮の方向に向かう中で、製品開発はもとよりさまざまな分野で計画のあり方に工夫が求められるようになってきました。 これからの話は、皆さんにとって、とてもリアルな問題です。 ところが、一般論として説明したのでは、この問題の本…

結局のところ、大事なのは計画に対するチームメンバーの当事者意識である(2/2)

前回は、計画作成に苦労した経験談をお伝えしました。 計画重視を声高に叫んだところで、多忙を理由にプロジェクトマネージャやリーダーたちは計画に時間を割こうとはしません。 「今は忙しいから」 これが、彼らが計画に時間を割かない理由ですが、プロジェ…

結局のところ、大事なのは計画に対するチームメンバーの当事者意識である(1/2)

前回のブログ(日程計画の「い・ろ・は」) では、計画作成に担当者を巻き込むことが日程計画を成功に導くポイントだと説明しました。これは日程計画に限った話ではありません。 「計画づくりにはチームメンバーを巻き込もう」 今回は、私の実体験をもとに、…

日程計画の「い・ろ・は」(2/2)

前回は、日程計画の中でも実行計画の「い・ろ・は」を挙げて終わりました。 実行計画とは文字通り、ゴールを達成するためにいつ、だれが、何をどう実行に移すのかの計画のことで、成功のポイントは計画作成に担当者を巻き込むことでした。 そして、実行計画…

日程計画の「い・ろ・は」 (1/2)

いろんな物事に始めの「い・ろ・は」があるように、日程計画にも「い・ろ・は」があります。日程計画を漠然と捉えて立ち尽くすのではなく、まずは「い・ろ・は」を身に付けましょう。 詳しい話に入る前に、日程計画の位置付けや種類について説明します。 プ…

「計画の大切さは、教えるのではなく気付かせる」 ひとは他人に意見されると心にバイヤスがかかる

私が計画の大切さを説くと、素直な人は「そうだ、計画は大切だ」と計画の必要性を認め、すぐに行動に移します。ところが、ひねくれ者は「計画なんてやるものか!」と計画を忌み嫌うようになります。 どっちがいいということではありません。私に言わせれば、…

幹部の「計画に割く時間は無いぞ」のひと言がプロジェクト完全崩壊の引き金を引いた

計画で大事なのは効率性です。計画は大切ですが、時間をかけ過ぎてはいけません。 そんな話を以前に書きました。 これは、計画の大切さを理解している人たちに宛てた話です。そうでない人たちにうかつにこの話をしようものなら「なーんだ、計画しなくていい…

考えるために立ち止まるな 上を目指すなら走り続けながら考えよう

歳を重ねるに連れて昔を振り返ることが増えてきました。 大学を卒業して就いた職業は自動車の設計でした。工場地区ゆえに朝が早く、設計ゆえに夜が遅い生活の中で、楽しかった学生時代をよく思い出したものです。 今風に言えば “ブラック” な働き方でしたが…

クリティカルチェーンは昔の話だが… 当時話題となった学生症候群が今もプロジェクトを虫食み続けている

事業運営の柱にプロジェクトを据えている組織は日本にもたくさんあります。彼らにとって、プロジェクトはビジネスそのものです。私にプロジェクトマネジメント強化支援を依頼してくださるのはそんな組織なわけですが、仕組みやスキルに着目するだけでは片手…

「ズバリ!「仕事(WBS)はどの程度まで詳細化すればいいのか?」に答える

前回は「計画をどこまで詳細化すべきか」という極めて厄介な問題について書きました。 今回は、その続編とも言える内容です。 プロジェクトマネジメントの中でも実行計画に対象を絞り、さらに具体的に書きます。 私の本職はビジネスコンサルタントなわけです…

「計画をどこまで詳細化すべきか」という極めて厄介な問題に答えを出すためのヒント(2)

「計画をどこまで詳細化すべきか」は計画者にとって極めて厄介な問題です。 そこで、経験から私なりに導きだした方法を紹介しましょう。 計画の目的を明らかにする。 目的達成に向けて実行計画に求められる要件を整理する。 要件を満足するにはどの程度詳細…

「計画をどこまで詳細化すべきか」という極めて厄介な問題に答えを出すためのヒント(1)

どんな計画であれ、計画者にとって「計画をどこまで詳細化すべきか」は悩みの種です。計画に着手しようとした瞬間、多くの計画者がこの問題に頭を抱えることでしょう。 例えば事業計画で詳細化といえば目標数字のことが思い浮かびます。「目標数値をどこまで…

“計画”と“決める”の持ちつ持たれつの関係を理解することが大事だ

これまでも書いてきましたが、私は計画のポイントを「ODISQ(オーディスク)」という言葉で表現しています。 O 俯瞰する(overlook) D 決める(determine) I 想像する(imagine) S 構造化する(structure) Q 問い掛ける(query) “決める”は効果的…

細かな計画に入る前にまずは方向性を決めよう 私たちは目の前の具体的なことに目を奪われがちだ

世の中には計画が得意な人もいれば、苦手な人もいます。生まれ持った違いがあるのかもしれませんが、ことあるごとにこの違いについて考えてきました。 その都度いろいろな気づきがありましたが、その中には “コレだ!” と思うものもありました。 それがこれ…

計画の過程で表面化してしまった課題に対して "見て見ぬふり" をしないための方法

計画を立てていると、さまざまな課題が表面化してきます。これは計画の醍醐味のひとつではありますが、これが困った状況を招くのも事実です。なぜなら、表面化した課題を放置したままでは、その先の計画に進むことができないからです。 表面化した課題をどの…

知識を活かして切れ者になりたければ、その知識を “自分化” する能力を身に付けなさい (2)

インターネットのおかげで、私たちはさまざまな方法論を知識として蓄えられるようになりました。以前は専門的なトレーニングを受けたコンサルタントの専売特許だった方法論は、今や市民権を得つつあります。 しかし、書籍やインターネットで手に入れた方法論…

知識を活かして切れ者になりたければ、その知識を “自分化” する能力を身に付けなさい (1)

私の知る限りにおいて、よい計画が価値を生み出すのは決まって実行段階です。 思いがけない事件に巻き込まれることが少なくなった。 計画変更に伴う悪影響を予見できるようになった。 実行手順で迷うことがなくなった。 計画者の意図がわかるようになった。 …

計画の達人は詳細化にこだわる

計画する上で一番悩ましいのが詳細化です。 前回は “詳細度” について書きました。詳細度が粗すぎると計画の信頼性を担保できませんが、細かすぎると計画作成や進捗管理に手間がかかりすぎて長続きしません。 しかし、詳細度の見極めだけが詳細化の難しさで…