計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

結局のところ、大事なのは計画に対するチームメンバーの当事者意識である(1/2)

 

前回のブログ(日程計画の「い・ろ・は」) では、計画作成に担当者を巻き込むことが日程計画を成功に導くポイントだと説明しました。これは日程計画に限った話ではありません。

 

 

「計画づくりにはチームメンバーを巻き込もう」

 

今回は、私の実体験をもとに、このテーマを深掘りします。

 

以前にこんなことがありました。

私はある大型プロジェクトのプロジェクトマネジメント力強化を目標に活動していました。

私がこの活動を開始したころ、プロジェクトはまだ開始していませんでした。プロジェクトマネジメントに対する意識が低かったせいで「早く計画を始めましょう」という私の呼びかけに応える人はほとんどいませんでした。

 

週次で計画作成会議を予定していましたが、直前になるといつも「お客様に呼び出されていて時間がとれません」「明日の会議の資料が間に合わないので今日はキャンセルさせてください」と連絡が入っては、中止を余儀なくされました。

こんな状況が続いたせいで、計画を本格的に開始できたのは、プロジェクトが始まって後のことでした。

 

 

計画はプロジェクトが本格化するまでが勝負だ

 

プロジェクトが始まると、さらに計画どころではなくなりました。

段取りの悪さに起因する社内調整や客先対応で多忙を極めるプロジェクトマネージャに計画を立てる余裕などありません。

痺れを切らした私たち支援チームは、止む無くトップダウンでの強制に踏み切りました。忙しいからという理由で事業を危険にさらすわけにはいきません。

プロジェクトマネージャやリーダーたちは、しぶしぶ計画会議に臨むようになりました。

 

やっと始まった計画作成ですが、回数を重ねるうちに私たち支援チームとプロジェクトマネージャが差しで行うことが多くなりました。そこにリーダーたちやチームメンバーの姿はありませんでした。

 

プロジェクトマネージャは、実はこれほど大きなプロジェクトの全体をひとりで見るのは初めてでした。そのため、知見のない領域も多く、大まかな作業の洗い出しにも骨が折れました。領域ごとに経験豊富なエキスパートの参加を要請しましたが、多忙を理由にそれも叶いませんでした。

 

当面の計画をどうにか終えた私たちは、週次の進捗会議に臨むことになりました。ところが、進捗会議に参加するのはプロジェクトマネージャと数名のリーダーだけでした。「このタスクは完了しましたか」という問い掛けに対して「担当者に確認しないとはっきりしませんが… おそらく終わっていません」といったやり取りが続きました。

 

 

プロジェクトの本質的な問題はメンバーたちの当事者意識の欠如にあった

 

心配になった私はうつむき加減に尋ねました。

 

「チームメンバーの皆さんにこの計画は周知できているのですか?」

 

答えはノーでした。

そのときの私たち支援チームのショックは想像に難くないはずです。

チームメンバーたちは、計画の内容を理解せずにプロジェクトワークに没頭していたのです。これでは、計画した意味がありません。

 

これが、本質的な問題の幕開けでした。

チームメンバーたちには、計画に対する当事者意識が根本的に欠如していたのです。

 

(次回に続く)

 

 

 

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