計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

知識を活かして切れ者になりたければ、その知識を “自分化” する能力を身に付けなさい (1)

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私の知る限りにおいて、よい計画が価値を生み出すのは決まって実行段階です。

 

  • 思いがけない事件に巻き込まれることが少なくなった。
  • 計画変更に伴う悪影響を予見できるようになった。
  • 実行手順で迷うことがなくなった。
  • 計画者の意図がわかるようになった。
  • 確認や調整のためのコミュニケーションに多くの時間を割かれることがなくなった。
  • 必要な情報が集まってくるようになった。
  • メンバーに当事者意識が生まれた。
  • 計画のメンテナンスが楽になった。

 

これらはどれも、計画がもたらす恩恵です。

 

実行段階にこのような恩恵をもたらすことのできる計画を、私は “実行に効く計画” と呼んでいます。

 

私たちがビジネスで成果を上げるには、実行に効く計画が欠かせません。

私たちは日常的に概念化力を磨き、輝きを増した概念化力を武器に計画対象を概念的に整理する(=概念モデルを作り上げる)ことで “実行に効く計画” を生み出すことになるわけですが、これが容易なことではありません。

 

私の場合、頼りになるのは、日々のコンサルティング活動を通じて身に付けた方法論(メソドロジー)でした。

 

さまざまな変革シーンや事業開発のシーンで、私は “実行に効く計画” を生み出すために多彩な方法論を駆使してきました。

 

さて、そろそろ問題提起に移りましょう。

私は方法論を駆使する毎日の中で、いつも気になっていたことがあります。

 

やたらと方法論を振りかざすわりに使いこなせていない、いわゆる “勘違いしている人” が増えてきていることです。

 

私はコンサルタントという職業柄から方法論に触れる機会がよくありました。大手のコンサルティングファームは自分たちの方法論を体系化して整理しているので、かつては方法論を駆使するのはコンサルタントの専売特許でした。

 

ところが今は、普通のビジネスマンがインターネットを通じてさまざまな方法論に触れ、知識を身に付けられる時代です。アレックスオスターワルダーとイヴ・ピニュールの著書「ビジネスモデルジェネレーション」で紹介されたビジネスモデルキャンバス(BMC)も、ネットを通じてブームになり、瞬く間に世の中に広まりました。

 

方法論の多くは表面上シンプルなため、書籍を読んだり、セミナーに参加したり、インターネットで情報を収集したりするだけで、十分に分かった気分になれます。

 

しかし、それは知識として方法論を理解したというだけで、日々のビジネスシーンに活かすことはできません。偶発的に方法論を活かせるシーンに巡り合えたところで、それとは気づかずにスルーしてしまっていることもよくあるはずです。

 

私が親しくお付き合いしている企業幹部の間では、数年前から “ビジネスモデルキャンパス” や “リーンスタートアップ” といった考え方が知られるようになり、社員教育も始まっています。

 

ところが、それらは単なる “学び” であり “知識” でしかありません。価値を生み出すところまでは至っていないのです。

 

そんなわけで方法論の取り扱いには注意が必要なわけですが、それだけで方法論をないがしろにしてはいけません。

正しく実行に移すスキルを身に付けることができれば、方法論には大きな組織を動かすほどの力があります。

 

方法論を活かすには、実践を通じて、方法論を自分の中に染み込ませてなければなりません。

 

つまり、方法論を “自分化” するわけです。

 

次回は、この “自分化” の本質に迫ります。

 

 

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