計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

知識を活かして切れ者になりたければ、その知識を “自分化” する能力を身に付けなさい (2)

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インターネットのおかげで、私たちはさまざまな方法論を知識として蓄えられるようになりました。以前は専門的なトレーニングを受けたコンサルタントの専売特許だった方法論は、今や市民権を得つつあります。

 

しかし、書籍やインターネットで手に入れた方法論は、それだけでは単なる知識でしかありません。これを実際のビジネスシーンで使いたがる人はいますが、ひとりで空回りしているその姿は傍目には痛く見えます。

 

計画者にとっても、方法論は計画上手になるための心強いツールです。これを使いこなせるようになれば、皆さんの計画力は格段にアップするはずです。

では、私たちは巷に溢れる方法論とどう付き合っていけばよいのでしょうか。

 

方法論を活かせない理由は、方法論が自分のものになっていないからです。

方法論を自分化できていないのです。

 

自分化できていない方法論を操って自慢げに披露したところで、それは自己満足でしかありません。大切な議論の場を生半可な知識で引っかき回し、参加者たちを混乱させるだけです。混乱したところで議論が盛り上がればよいのですが、普通は、逆に静まり返ってしまいます。

 

方法論を自分化できていない人は使い方を間違えてしまう以前に、使いどころを見誤ってしまいます。せっかくの方法論が、これでは台無しです。

 

計画シーンを例にとると、何を計画したいのかによって使用する方法論が違います。

 

どの事業領域に積極的に投資すべきかを検討するためにはボストン・コンサルティング・グループが開発した “事業ポートフォリオ” という方法論が有名です。事業戦略を見直したければ “ビジネスモデルキャンバス” がいいでしょう。ガバナンス強化だけで課題が解決しない、そんな組織なら “ティール組織” がヒントになります。

 

ところが、方法論を自分化できていない人たちは、使いどころに気付きません。投資すべき事業領域の議論の最中にホワイトボードにビジネスモデルキャンバスの絵を描き「私たちの顧客は誰なのか、何を期待しているのか」と始めるわけです。いずれ必要な議論ではありますが、今はそのタイミングではありません。

 

どんな方法論にも、それが生まれた環境や背景があります。方法論を自分化するには、まずはこのことに気付いていることが大事です。

 

方法論が生まれた環境や背景を想像し、方法論を具体的なイメージに落とし込めていてこそ、実践の場でうまく活かすことができます。

“自分化” とはそういうことです。

 

自分化するには、読み聴きした方法論を言葉として理解するのでなく、自分の経験や問題意識を総動員して、それらを方法論の中に埋め込むことが大切です。

 

その感覚が身に付いて次から次へと自分化できるようになれば、聞きかじり読みかじりの方法論ですら、まるで自分が考えついた方法論であるかのよう使いこなせるものです。

周辺のビジネス環境に応じて知識の枝葉を伸ばし、経験や想像で不足を補い、複数の理論をつなぎ合わせ、まったく別次元の広がりを持つ方法論に生まれ変わらせることだってできなくはありません。

 

自分化した方法論は、説得力が半端ありません。

 

なぜなら、方法論が生まれた背景や理論を、自分の言葉で語れるようになるからです。

自分化を繰り返すうちに、皆さんは、自分の中に眠っている自分化能力を目覚めさせることができるはずです

 

方法論はこれ自体、概念の世界で成立しているだけの理論です。これに命を吹き込むのは、皆さんの具体的な経験や問題意識であり、そこから生まれる想像力です。

自分化する力を磨き、概念の世界と具体的な世界を意識的に行き来できるようになれば、皆さんの計画力は飛躍的に高まるに違いありません。

 

 

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