計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

日程計画の「い・ろ・は」 (1/2)

 

いろんな物事に始めの「い・ろ・は」があるように、日程計画にも「い・ろ・は」があります。日程計画を漠然と捉えて立ち尽くすのではなく、まずは「い・ろ・は」を身に付けましょう。

 

詳しい話に入る前に、日程計画の位置付けや種類について説明します。

 

プロジェクト計画に日程計画は付き物ですが、例えば事業計画や販売計画にも日程計画はあります。事業計画であれ販売計画であれ、目標を達成するためには、いつ、だれが、何をするのかを計画しなければなりません。これはまさに日程計画です。

 

ところが、いきなり日程計画から始めるのはよくありません。なぜなら、日程計画の前段で決まっていなければいけないことがたくさんあるからです。

 

たとえば製品開発プロジェクトであれば、日程計画に入る前に以下のような検討を終えておかなければなりません。

 

  • どんなビジョンや方針で製品開発を進めるのか。
  • どんなマイルストーン(プロジェクトを運営する上でカギとなる審査会など)をいつごろに設定するのか。
  • 審査会にどのような準備状況で臨み、どんなロジックで審査員の納得感を醸成するのか。
  • どんな予算配分を想定しているのか。
  • どんな課題やリスクが想定されるのか。それらの課題やリスクには、どのような方針で対処するのか。
  • 主要メンバーのうち、誰がどんな役割と責任を担うのか。

 

これらはあくまで例として挙げたものですが、そのイメージは伝わると思います。

このような事前検討が不十分であれば、日程計画の過程で検討を余儀なくされます。もぐら叩きに例えられるようなアドホックな話し合いとなり、議論は荒れ、日程計画は部分最適の積み上げと化してしまいます。

事前検討は、日程計画成功への第一歩です。

 

では、そろそろ日程計画の話をしましょう。

日程計画には大きく分けてふたつあります。ひとつは“大・中日程計画”、もうひとつは“実行計画”です。大日程計画と中日程計画は単に粒度の違いなので、ここでは大・中日程計画としてひとまとめにしました。

 

 

大・中日程計画は実現性に当たりを付けるための計画です。

 

大・中日程計画とは、詳しい情報が手に入っておらず、細かなことが決まっていない状況下で作成する日程計画のことで、その目的は、実現性に当たりを付けることです。

この段階ではおぼろげなイメージしか持てていないのが普通ですが、大・中日程計画を立てる過程で、バラバラだった構成要素やキーワードがつながりはじめ、全体の輪郭が浮きたってきます。そして大・中日程計画を完成するころには、関係者の間に、ある程度の共通理解が形成されます。

 

「これはヤバいからやめておこう」

「着手を前倒しすれば何とかなりそうだ」

 

大・中日程計画を完成したころにはこんな言葉が飛び交うはずです。

 

 

実行計画はゴールを達成するための具体的な計画です。

 

実行計画は文字通り、ゴールを達成するためにいつ、誰が、何をどう実行に移すのかを記述した具体的な計画です。計画のメッシュ(詳細度)はかなり細かくなりますが、ここでは、計画に抜けがないことはもちろん、計画を実行に移す担当者ひとりひとりに、自分に割り振られた作業の内容を深く理解させ、自覚させ、具体的にイメージさせておくことが大切です。

  “ 計画作成に担当者を巻き込む ”

一番のポイントはコレです。

 

 

日程計画の「い・ろ・は」はシンプルに3つです。

 

前置きが長くなりましたが、一回目の今回は実行計画の「い・ろ・は」について説明します。

「い・ろ・は」というくらいなので、3つに絞り込みました。

 

  1. タスク(詳細化された個々の作業)間の依存関係を明らかにする。
  2. ひとつのタスクに複数の担当者を割り当てない。
  3. 「いつまでに完了する」ではなく、「いつ始められる」と「何時間かかる」「どのくらいの期間かかる」で日程を構成する。

 

この3つを意識するだけで、皆さんが作成する実行計画は随分とよくなるはずです。

長くなりますので、詳しくは次回ということにさせてください。

 

 

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