計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

計画の定義、目的、そして「本質」について考える

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先日の記事で「ODISQ(オーディスク)」を説明する際に、「計画の本質」という言葉を使いました。

 

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これら(ODISQ)は、私が長年の経験の中で抽出した計画上のキーワードであり、実行に効く計画を作成する上での重要成功要因(CSF)です。すべてが、実践を通じて辿り着いた「計画の本質」に根差しています。

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あまり気にせず読み飛ばした方が多いと思いますが、「本質」という言葉は、難解で厄介な言葉のひとつです。

「本質とは何か?」

辞書を調べればいろいろと書いてはいますが、この問い掛けに対して納得いく答えを持っている人は相当に少ないはずです。

 

私は「本質」についてこのように考えています。

「目的や価値が特徴と結び付いたときにはじめて、その特徴は本質と呼ばれる」

つまり「特徴」と「本質」は言葉にすれば同じわけで、これが「本質とは何か?」という問い掛けに答えることの難しさにつながっているというのが私の意見です。

 

 交通機関としての車の「特徴」

  • 目的地を自分で決められる
  • 利用時間に制約がない
  • 購入費や維持費がかかる
  • 個室である
  • ドア・ツー・ドアで移動できる
  • 運転技術が必要

 休日の移動の手段として車を使っている私にとっての車の「本質」

  • ドア・ツー・ドアで移動できる

 

この理解はあくまで私の個人的なもので、私はこれに満足しています。腹落ちしたとでもいうのでしょうか、こう考えると、これまでの「本質」を巡る頭の中の混乱が嘘のようにスッキリとします。なんせ、この考え方に気付くのに、私は数年を要したわけですから。

 

そんなわけで、計画の本質を語るためにはその準備段階として、計画の定義や目的を明らかにしておかなければなりません。

ここでも一般論はさておき、私が考える計画の定義と目的は以下の通りです。

 

[計画の定義]

実行に先だって目標を定め、その目標を達成するための方法や手順などを検討し、あらかじめ決めておくこと。

 

[計画の目的]

  • 目標の妥当性を判定する。
  • 実行フェーズの輪郭をできるだけ際立たせる。
  • 実行フェーズの確実性を高め、不確実性を明らかにする。
  • 意思決定を促す。覚悟を決めさせる。
  • 関係者の責任、役割、権限を浮き彫りにする。
  • 状況の変化を理解するのに貢献する。対処方法の適正度を測るのに貢献する。
  • 計画者の意図、計画の理由や根拠をステークホルダー(利害関係者)に腹落ちさせる。
  • 関係者を目的に向かってひとつにまとめ上げる。

 

いかがでしょう。ご納得いただけたでしょうか。

スッキリしない方は、ご自身がこれまでに関わってこられた計画を思い浮かべ、それらの目的や果たした役割がどのようなものであったかを、具体的に挙げてみてください。概念を概念として理解するのは容易ではありません。概念を理解しようとするとき、自らの具体例を挙げることはとても効果的です。

 

ここでは、納得いただけたという前提で話を前に進めましょう。

計画の本質に話を移します。

 

本質とは目的を達成するために欠かせない特徴のことなので、計画の本質を語る前に、その下準備として整理しておきたい点があります。上に挙げたような目的を達成するために、計画はどうあるべきなのかという点です。

 

[目的を達成するために計画に求められること]

  • 将来に向けてしっかりと検討され、曖昧さが安易に放置されていないこと
  • 前提や仮説が明らかとなっていること
  • 簡潔さと論理性を併せ持っていること
  • 構成要素の網羅性が高く、関係性が明らかになっていること
  • 分類さて、優先順位が付けられていること
  • 適度に具体的であること
  • メンテナンス性に優れていること(計画変更が容易なこと)
  • 関係者としっかり調整され、合意されていること

これらを本質と呼んでもいいのですが、このままではあまりに数が多すぎます(笑)

少し整理して、「本質」らしく、シンプルに仕上げるとこうなります。

 

[計画の本質]

  • 未来志向である
  • 他人が理解しやすい
  • 意思がある

 

実際には、皆さんそれぞれの目的に合わせて本質は存在するはずです。つまり、皆さんひとりひとりが計画の本質について考えなければならないということです。今回は、そのときの参考になればと思って書きました。

 

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