計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

トップダウンかボトムアップか、それを決めるのは計画だ(2)

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前回は「トップダウンでいくべきときか、ボトムアップでいくべきかの判断は計画に盛り込んでおくべきだ」という話をしました。

 

欧米型のトップダウンでなければ世界に取り残されるだとか、ボトムアップ型でなければ現場の強みを生かせないとかの問題ではなく、計画段階にどっちが効果的なのかをケース・バイ・ケースで判断し、実行に移すことが大切だ

 

そんな話をしたわけです。

 

この判断を下すには、トップダウンボトムアップの特徴を理解しておかなければなりません。

 

そこで今回は、トップダウンボトムアップの特徴を私なりの目線で比較します。

皆さんが判断を下すうえでの一助になればと思います。

 

[現場の当事者意識]

トップダウンはその名の通り、幹部が決めて決定事項を現場に落とし込みます。幹部の意見が色濃く反映された内容が突然降ってくるわけで、現場にとっては寝耳に水です。「やらされ感」満載のこのやり方で、現場の当事者意識が高まるわけがありません。

その点、ボトムアップでは現場の意見が反映されます。自分たちが決めたことなので、当事者意思は否応なく高まります。現場の自発的な行動をビジネスに活かすためには、現場の思惑や希望をくみ上げ、腹落ち感を演出する必要があるわけで、その点において軍配はボトムアップに上がります。

優秀な現場を抱え、現場のやる気や工夫が強みの日本企業にとって、この違いは無視できません。

トップダウンであっても、タウンミーティング的なもので共感を得ようとする試みはありますが、総じて効き目は限定的です。

 

全体最適

方向性を決めたり、アイディアをまとめ上げたりするときの話をしましょう。

経営幹部がビジネス環境を俯瞰できている場合、トップダウン全体最適を担うことができます。ところが、現場という閉鎖的な世界の知見を結集しただけのボトムアップには全体最適の観点が欠如しがちです。概念化力の極めて高い人物がボトムアップの全体像を取り仕切るなら別ですが、そんな優秀な人物は稀にしかいません。

 

[スピード感]

トップダウンをうまくやれば短期間で事を実行に移すことができます。これに対してボトムアップは階層を持ち上げる度に調整が発生し、いたずらに時間を費やすことになります。スピード感に欠けるわけです。

しかし、意思決定までの時間を比較するだけでスピード感を語るのは片手落ちです。ビジネスは意思決定して終わりではないからです。意思決定を実行に移し、結果を出して“なんぼ”です。

トップダウンの決定事項を現場にやらせるには時間がかかります。現場は現場なりの意見を持っているので、彼らを納得させるのは大変だからです。それを嫌い、現場を納得させずに実行したのでは、結果は付いてきません。

その点、ボトムアップの決定事項を実行に移すのにはさほど時間はかかりません。現場はすでに納得しているからです。

 

[事業成長率]

ビジネスで高い成長率を実現するにはチャレンジ精神が欠かせないわけで、それと深く関係するのが目標設定です。

成長できる組織は高い目標を設定してそれをつかみにいくのに対し、成長できない組織はこれまでの延長上で月並みの目標を設定し、それなりの成績に満足します。

その意味で、事業成長にはトップダウンが圧倒的に有利です。

業績目標は、その組織が置かれた経営環境に応じて必然的に決まってくるものであり、時としてチャレンジングな数字にならざるをえません。

ところが、ボトムアップで決めようとすると「自分たちの今」から抜け出せず、目標数字は妥協の産物となります。低い目標設定に甘えている組織が競争に勝てるはずもなく、目標を達成できたところで、厳しい環境を生き抜くことはできません。

 

今回は、トップダウンボトムアップの特徴を私なりの目線で比較しました。

次回は、3回に渡る「トップダウンボトムアップか」の最終回です。

ぜひ楽しみにしてください。

 

 

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