計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

マネジメントが少しでも気を抜くと、現場は手当たり次第に作業に着手してしまう(2/2)

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現場は悪気があるわけではなく、無計画に行動し、自分のペースで仕事をします。

コスト意識の低い現場では、これがコストオーバーランに直結します。

今回は、前回の内容をさらに掘り下げます。

 

プロジェクトにおける計画の欠如は、往々にしてコストオーバーランにつながります。

その中でも私が注目しているのは、現場のエンジニアたちの能力の高さがコストオーバーランに一役買っているという事実です。

 

「能力の高さがなぜコストオーバーランにつながるの?」

 

不思議に思うでしょうが、そのような現場を私は数多く見てきました。

 

豊富な経験によって高い能力を身に付けたエンジニアは、情報の不足を積み上げてきた知識と勘で補うことができます。散りばめられた情報の欠片さえあれば、自分の殻に閉じこもって、設計作業にまい進することも可能です。ある程度の情報が集まった時点で、フライング気味に設計作業をスタートするのは彼らにとっては当たり前なのです。

彼らは常日頃から「早く設計に取り掛かりたい」という衝動に駆られているのです。

 

とりわけ、納期に余裕のない、大規模開発を伴う製品開発プロジェクトでは、この傾向は顕著に現れます。

 

ゼロから新規開発するような場合ならともかく、たいていの場合は、プロジェクトが正式に立ち上がるころには、ある程度の情報や開発技法は存在しています。都度、仕様が派生するような受注開発プロジェクトでも事情は同じです。

経験のあるエンジニアたちは、手に入れた玉石混合の情報を足掛かりに、情報の断片をつなぎ合わせて作業に取り掛かります。誰から指示があったわけでもなく、彼らは手当たり次第に作業を始めてしまうのです。

 

コレがいけません!

 

これが原因で、多くのプロジェクトはコストオーバーランに見舞われることになります。

プロジェクトが進むに連れて、情報は二転三転します。そんなとき、ベテランのエンジニアたちが当たり前のように繰り返している先行着手が仇となります。

気付いた時には手遅れです。これまでの作業は水の泡となり、生み出された成果物は、費やしてきた工数といっしょに、そのままドブに捨てられることになります。

 

皆さんも、過去の自分を振り返ってみてください。

個人の判断で手当たり次第に着手した作業の中には、後で振り返ると意味のなかったものは、かなりの量あったはずです。

けっして悪気があったわけではありません。

経験からくる自信と行き過ぎた意欲は、往々にしてプロジェクトには貢献しない。悲しいですが、そういうことです。

 

では、このような悲劇を招かないためにはどうすればいいのでしょうか。

そうです、その答えは “計画” です。

最初にプロジェクト全体を俯瞰して計画を立ててさえいれば、そしてベテランエンジニアたちの前向きな行動を計画で制してさえいれば、このようなコストの無駄遣いは避けられたはずです。これは、計画者であるプロジェクトマネージャや上位管理者の役目です。

 

「最初にきちんと計画しておけば赤字は防げたはずだ」

 

こんな後悔の声を耳にすることがよくあります。

急がば回れ」という諺が身に染みる瞬間です。

私たちは今、この点において大きな成果を上げています。

 

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