計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

最大のポイントは「計画する時間を確保できない」をどう解決するかにある

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「計画する時間を確保できない」という切羽詰まった状況を、私はこれまでに多く見てきました。

今回は、このような状況に追い込まれた組織の事情を振り返り、そうならないための方法について考えます。

 

私は以前にも、同じようなテーマでブログを書きました。

 

 

 

 

こブログでは「忙しすぎて計画どころではない」という逃げ口上に対しては上司の助けが欠かせないという趣旨のことをお伝えしました。

今回は少し異なる観点から、このテーマを取り上げます。

 

実は、いったん「計画する時間を確保できない」という状況に陥ってしまうと、効果的な打ち手がありません。幹部が乗り出せばなんとかなると考える人もいますが、そう簡単ではありません。

 

プロジェクト計画を思い浮かべてみてください。

 

計画に時間を割くということは、切羽詰まった目の前の作業の手を止めることを意味します。

ゴールを達成のために計画するわけですから、計画するために目の前のゴールをあきらめてしまうのは釈然としません。しかし、いったん計画の手を休めてしまうと、プロジェクト運営は瞬く間に場当たり的になってしまいます。

 

「計画したために目の前のゴールは達成できなかったとしても、最終的にゴールを達成できるのであればいいではないか」

 

これは正論ではありますが、目の前のゴールに目をつぶるのには相当な覚悟が必要です。周囲に対して説得力のある言い訳が見つかるとよいのですが、たいていは見つかりません。

 

計画(=将来)を優先するか、それとも作業(=目前の危機回避)を優先するか

 

この狭間で、計画優先の決意は揺らぎます。

 

「作業を他の人に代わってもらいましょう」

「計画は他の誰かに任せましょう」

 

こんなときに欠かせないのが「上司の助け」なのですが、簡単ではありません。優秀な人材が都合よく空いていることはまずないからです。それも、計画を任されるほどの人材となると、代わりは簡単には見つかりません。

 

そんなわけで、こんな状況に追い込まれたら、その時点ですでに皆さんの負けです。

大切なのは、このような状況には陥らないことです。

そのためには…

 

 “計画に着手するタイミング” が大事です。

 

 

 

例を挙げてみましょう。

 

 

[事業計画の場合]

 

4月に会計年度を開始する日本企業の多くは、第三四半期の後半、つまり11月末あたりから事業計画をスタートしますが、これでは納得のいく計画は作れません。計画に着手するタイミング遅すぎるのです。

 

聞くところによると、欧米のグローバル企業の多くでは専任チームが1年をかけて事業計画に取り組むらしいです。事業戦略を練り込み、事業計画を立て、立てた計画を現場に落とし込むのに1年丸々を費やすわけです。片手間で事業計画を作る日本企業とは費やす期間も、予算も違います。

その結果。欧米グローバル企業の戦略意識は、日本のそれとは比較になりません。新年度が始まるころには、各人の果たすべき役割や期待感は現場の隅々にまで浸透しています。

 

 

[プロジェクト計画の場合]

 

優秀なプロジェクトマネージャは、重要プロジェクトを渡り歩くのが普通です。

 

「今やっているプロジェクトは○○月には終わるから、翌月からは△△プロジェクトのプロジェクトマネージャをやってほしい」

 

こうなるのが普通です。

 

ところが、恒常的にプロジェクトが遅延する組織では、先行プロジェクトは期待通りには終わりません。

その結果、計画に時間を割けないまま、後続プロジェクトが始まってしまいます。

しかも、当事者たちはこの状況に慣れきっています。彼らの多くは「自分に非はない」と平然と言ってのけます。

 

受注開発型のプロジェクトの場合はさらに深刻です。

受注開発型のプロジェクトは、受注したらすぐに時間に追われます。それゆえ、受注前に計画することが大切です。

ところが、受注前の計画工数は持ち出しになります。万が一にも失注してしまえば、費やした計画コストはそのまま赤字になります。

明確な方針を打ち出せない組織は、結果的に「計画か、作業か」の二者択一に迫られることになります。

 

 

私の周りには計画重視が広がっています。

それでも「計画する時間を確保できない」という状況は続いています。

 

「計画する時間を確保できない」

 

こうなってしまうと、状況は時間の経過とともに悪化する一方です。場当たり的な対応がネガティブループの引き金を引いてしまうからです。

こうなってしまってからでは遅いのです。

皆さんも、ぜひ職場で議論してみてください。

 

 

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