計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

「忙しすぎて計画どころではない」という状況を打ち破るには計画するしかない

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以前にも書きましたが、計画に対する様々な誤解が計画軽視を招きます。ところが、計画が定着しない原因は、それだけではありません。

そこには、計画したくてもできないという現実があります。

 

「忙しすぎて計画どころではない」

 

この言葉を鵜呑みにするわけにはいきません。

しかし、もし皆さんが、計画への熱い思いを周囲の人たちと共感したいなら、この言葉にいったんは理解を示すくらいの余裕は持っておきましょう。

 

私の周辺にも「忙しすぎて計画どころではない」と声を荒げる人たちがいますが、その多くは立場の弱い人たちです。

日本の組織では、全権委任されたはずの経験豊富なプロジェクトマネージャの中にも、立場の弱い人はいます。彼らにとってこの言葉は、単なる逃げ口上ではありません。

現場に寄り添っている私たちへの申し訳なさと、助けてくれない組織への不満、この両方が入り混じった精いっぱいの言葉だったりします。

そんなとき、私は彼らを頭ごなしに否定することはできません。

 

不具合が発生し、目論見よりも大幅に進捗が遅れているような場合、プロジェクトマネージャはギリギリの状況に追い込まれます。

幹部は彼らにこう言うでしょう。

 

「のたのたと計画している場合か? 早く現場に行って陣頭指揮をとれ」

 

プロジェクトマネージャは計画の大切さを否定され、居たたまれない気持ちになったはずです。私も若いころ、似たような経験をしました。

 

「忙しい」と言われたとき、もしそれが計画に目覚めたプロジェクトマネージャの言葉なら、私は彼らといっしょに悩みます。問題をエスカレーションすべく彼らの上司と連絡をとり、計画の大切さについて時間をかけて話し合います。それでだめならその上司、それでもだめならさらにその上司というふうに、根気強く説得してまわります。

そして結局は、計画することで状況を打開します。

 

ところが、冒頭にも書いたように、そうでない場合もあります。計画をしたくない人たちの逃げ口上となっている場合です。

 

計画に思い入れのない人たちにとって、上で書いたような幹部のひと言は、打って付けの言い訳(=免罪符)になります。彼らは免罪符をかざし、迷うことなく計画を放棄します。

こんなとき「忙しすぎて計画どころではない」という言葉は、逃げ口上に他なりません。

 

多くの日本企業では、計画軽視の組織文化が事業運営を困難にしています。「忙しすぎて計画どころではない」という逃げ口上は、そんな日本企業の象徴です。

 

これに対し、私たちは鉄槌を下さなければなりません。

それが組織のためであり、本人のためでもあるからです。

 

このように、「忙しすぎて計画どころではない」という言葉の裏には、相反するふたつの本音があります。それゆえ、これほど厄介なものはありません。

私たちに大切なのは、この言葉の裏にある相手の本音を見抜く力です。

向き合った際の相手の表情や普段の言動、仕事に対する取り組み姿勢などに注意を凝らし、本音を見抜かなければなりません。

 

計画しておけば、計画せずに実行したときよりもはるかに時間を節約できます。「忙しい」という現状を何らかの手段で乗り越えて計画することができれば時間を生み出すことができ、ストレスは軽減されます。モチベーションも高まります。

 

私を支えるのは、たったひとつの事実です。

 

「忙しいからといって計画しなければ、悲劇的な最期を迎えるまで、その人は忙しいと言い続けることになる」

 

結果的に「忙しすぎて計画どころではない」という状況を打ち破るには計画するしかないのです。

 

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