計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

“ツッコミどころ” を探せ! 最後に「新規要因」に着目しよう

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計画上手と評判の高い人たちは、懐に “ツッコミどころ” を忍ばせています。

ところが、計画に不慣れな人たちが自分なりの “ツッコミどころ” を手に入れるには、かなりの経験を要してしまいます。

そこで私は、初心者向けに3つの “ツッコミどころ” を準備しました。

 

[計画の初心者に贈る3つの “ツッコミどころ” ]

 

1. 何が前提要因なのか? (どんな前提条件があるのか?)

2. 何が重点要因なのか? (いつも失敗するのはどこか?)

3. 何が新規要因なのか? (これまでとは何が違うのか?)

 

たったの3つですが、最初はこれで十分です。これを梃子(てこ)に計画を繰り返すうちに、皆さんなりのツッコミの得意技が身に付くはずです。

 

 

今回は最後のひとつ「何が新規要因なのか?」の話です。

 

計画が苦手な人たちは、自分たちのやり慣れていることや知見のあることに計画時間の大半を費やしてしまいます。そして、本来はじっくりと計画しなければならないはずの新しいことには、ほとんど時間を掛けません。

 

新しいことは情報が不足しているので情報収集には骨が折れ、相談できる相手も限られます。それゆえ計画には時間が掛かり、想像力が必要で、精神的にも追い込まれます。

これは誰にとっても苦痛なことです。

計画するとき、多くの人は無意識のうちに苦痛から目を背けます。手っ取り早く取り掛かれる、やり慣れていることのほうに飛び付くのです。これでは、計画に多くの時間を割いたところで、出来上がった計画は「かたちだけ」となってしまいます。

 

「この計画は空っぽだね」

 

そう言われても仕方ありません。

計画の目利きなら違いは一目瞭然なのです。

 

計画に費やすことのできる時間には限りがあります。計画に時間を掛け過ぎると実行フェーズが圧迫され、しわ寄せがきます。

 

「計画は大切だが、計画したからといって成果物ができ上るわけではない」

 

これは私がよく口にするフレーズです。

計画は不要だとか、計画に掛ける時間は無駄だとか、そういう意味ではありません。

 

「だからこそ、計画は効率的でなければならない」

 

これが結論です。

 

限りある時間をうまく使って計画を磨き上げるには時間配分が大切です。

やり慣れたことに必要以上の時間をかけたところで、分かり切ったことが詳しく大量に書き上げられるだけで、結果にはほとんど影響しません。

これに対し、新しいことに時間をケチると大問題につながります。実行フェーズに移ってから多くの “はじめて” に遭遇してしまいます。場当たり的に対応したのでは最悪の結果を招いてしまいます。

 

「計画に時間をかけるなら “やり慣れたこと” ではなく “新しいこと” に着目すべきだ」

 

これが計画のコツです。

計画ではじめて取り組む事象のことを、私は「新規要因」と呼びます。

これまでと同じように、新規要因を洗い出す際のヒントを挙げておきましょう。

 

 

[新規要因を洗い出すためのヒント]

 

  • 実行チームに着目する。
    例えば、はじめてのチーム体制やはじめて組むチームメンバーなど
  • 周辺環境に着目する。
    例えば、はじめて取り組む市場やはじめての顧客、はじめてタッグを組むビジネスパートナーなど
  • 実行プロセスに着目する。
    例えば、これまでに経験のない作業の作業内容や作業手順など
  • 成果物に着目する。
    例えば、はじめて開発する機能やはじめて採用する技術など

 

 

他にも新しいこと(=新規要因)はたくさんあるでしょうが、どれも「はじめて」か「経験があるか」の二者択一で判断できます。頭の中を開放してワイドレンジに構えれば、洗い出すのはさほど難しくありません。

 

その代わり、新規要因は「洗い出したらおしまい」ではありません。

 

全体計画フェーズでは、洗い出された新規要因がもたらす悪影響について議論し、整理しておきましょう。これが、詳細計画フェーズでは対策の議論につながります。

新規要因には不確実性が付きまとい、それが計画者の心に重くのしかかります。避けて通りたいのは山々ですが、それでは計画している意味がありません。

ぜひ、新規要因の洗い出しに時間を割いてください。そして、詳細計画フェーズでは、勇気をもってこれらの新規要因と向き合ってください。

 

 

 

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