計画上手と評判の高い人たちは、懐に “ツッコミどころ” を忍ばせています。
ところが、計画に不慣れな人たちが自分なりの “ツッコミどころ” を手に入れるには、かなりの経験を要してしまいます。
そこで私は、初心者向けに3つの “ツッコミどころ” を準備しました。
[計画の初心者に贈る3つの “ツッコミどころ” ]
1. 何が前提要因なのか? (どんな前提条件があるのか?)
2. 何が重点要因なのか? (いつも失敗するのはどこか?)
3. 何が新規要因なのか? (これまでとは何が違うのか?)
たったの3つですが、最初はこれで十分です。これを梃子(てこ)に計画を繰り返すうちに、皆さんなりのツッコミの得意技が身に付くはずです。
今回は、2つ目「何が重点要因なのか?」の話です。
私が「重点要因」と呼ぶのは、自分の経験を振り返って「いつも失敗していたこと」です。同じ失敗を繰り返さないためには重点要因は大事です。
過去の失敗を改めて振り返ってみると、私たちはいつも同じようなシーンで、あるいは同じような原因でつまずいています。しかもそれらの失敗には、計画段階にきちんと検討してさえいれば防げた失敗も多く含まれていたはずです。
日本の製造現場は、たびたび繰り返す失敗に対して再発防止策を講じ、改善を繰り返してきました。ところが計画の現場にはそれがありません。
計画段階に重点要因を洗い出そうと議論こそ、再発防止策にほかなりません。
私たちは計画段階に、冷静に過去の失敗を振り返ることで、再発防止を図らなければなりません。重点要因の洗い出しという行為は、そんな大切な機会を皆さんに提供してくれます。
失敗の原因は、計画の種類や取り巻く環境、チームやステークホルダー(利害関係者)の問題意識などによって様々です。
いくつか例を挙げてみます。
これを眺めてイメージを深めてください。
- 間違えた情報を真に受けてしまった。
- 課題認識が甘かった。
- 見積りが甘かった。
- 関係者の期待を見誤った。
- メンバーの実力を見誤った。
- 作業の洗い出しが不十分だった。
- 計画が細かすぎて更新せずに放置してしまった。
- 作業の順番を間違えたために手戻りが発生した。
- 役割分担が不適切だった。各人に責任感を醸成できなかった。
- 関係者の認識にズレが生じてしまった。
前提要因のときと同様、重点要因を洗い出すときも心にフィルターを掛けてはいけません。余計なことは考えずにおおらかな気持ちで洗い出しましょう。
ヒントを挙げておきます。
計画が苦手な人たちをスタートアップさせるためのヒントです。
[重点要因を洗い出すためのヒント]
- 役割分担や責任の所在に着目する。
- チームの実力やステークホルダーの当事者意識に着目する。
- 目標設定や暗黙の期待値に着目する。
- 認識合わせの難しさに着目する。
- 計画を構成する要素がきちんと洗い出せているかに着目する。
- 計画を構成する要素のそれぞれの依存関係に着目する。
洗い出された前提要因には、見るからに重大そうな項目が顔を揃えていました。
一転、重点要因は地味です。
重点要因の洗い出しは自分たちの弱点を見つめることなので、そこに派手さはありません。地味過ぎて、慣れるまでは洗い出しに身が入らないかもしれません。しかし、それが失敗を招きます。
これまでの失敗を、胸に手を当てて思い出してみてください。ちょっとした認識の違いや軽率な対応が大問題につながった経験は、誰しもお持ちのはずです。
「重点要因」の洗い出しは、前提要因の時と同じくらい時間を掛けて行いましょう。
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