大雑把に言えば、計画上手と評判の高い人たちは、懐に山ほどの “ツッコミどころ” を忍ばせています。さらに驚かされるのは、彼らは計画の最中に、さらに多くの “ツッコミどころ” を見つけ出すことができるという点です。そして、計画作業の成り行きに合わせてこれらの “ツッコミどころ” を効果的に繰り出すのです。
彼らの “ツッコミどころ” は、ある時は参加者たちをさらに深い議論へと導き、またある時は凝り固まった議論や偏見に満ちた議論に警鐘を鳴らします。
はたして、彼らはどのようにして “ツッコミどころ” を手に入れているのでしょうか。
私の場合は、こうやって “ツッコミどころ” を見つけています。
“ツッコミどころ” の見つけ方(私の場合)
- 情報を分類、構造化する。
- 情報の矛盾を追求する。
- 自分の中のイメージと照らし合わせ、違和感を追求する。
- 世の中の常識と照らし合わせ、相違点を追求する。
- 自分なりの仮説を立てる。
さて仲間の計画を諭そうとすると、ツッコミはタイミングが大切です。 “ツッコミどころ” を思いついたからといって、慌てて突っ込んではいけません。
ツッコミは、計画会議に参加している仲間たちが「なるほど」と頷くようなタイミングを狙うべきなのです。
皆がぼんやりと気付いてはいるが整理できていないような状況、得体の知れない違和感があるのにそれが何かを言葉にできない状況、そんな状況がツッコミのタイミングです。
逆に、事態はとんとん拍子に前に進んでいるのに中身が伴っていないような状況や、議論に繊細さや丁寧さが欠けるような状況でもツッコミが効きます。
達人からのツッコミは、計画が苦手な人たちにとって、頭を活性化させるための大切なヒントです。「そうか、そういう面も確かにあるな」と達人の視野の広さと発想の柔軟さに感服することでしょう。
こんな経験を積むうちに、計画下手もいつかは達人のようになって、気の利いた “ツッコミ”を周囲の人たちに振舞えるようになれる… いえいえ、そう簡単ではありません。
計画下手が気の利いた “ツッコミどころ” を見つけられるようになるには、彼ら自身が計画経験を積み、知見を貯え、利害関係者の悩みや痛みがわかるようにならなければなりません。
そんなわけで、何度も、何度も、計画を繰り返すうちにだんだんと突っ込めるようになるわけですが、それすら簡単ではありません。
なぜなら、経験の第一歩を踏み出すことができないからです。
自らのツッコミどころがゼロでは、何から手を付けたらいいのかわからないのです。
そこで私は、著書「計画の技術」の中で “ツッコミどころ” を3つに絞って紹介しています。
たったの3つですが、最初はこれで十分です。これを梃子(てこ)に計画を繰り返すうちに、皆さんなりのツッコミの得意技が身に付くはずです。
そうです、これは車のエンジンをかけるためのスターターモーターのようなものなのです。
[計画の初心者に贈る3つの “ツッコミどころ” ]
- 何が前提要因なのか? (どんな前提条件があるのか?)
- 何が重点要因なのか? (いつも失敗するのはどこか?)
- 何が新規要因なのか? (これまでとは何が違うのか?)
まずはここから経験の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
これらについては次回以降、数回に分けて、少し詳しく説明します。
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