計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

「走りながら考える」これがモットーの鈴木さんは“飛込み業務”で問題児となった

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計画軽視という言葉を「走りながら考える」と言い換えるとどうでしょうか。

計画軽視の自覚がない人も、これならピンとくるはずです。

走りながら考える、そんな仕事のやり方が普通に行われている日本の組織をたくさん見てきました。彼らは、目の前の作業に着手し、それが終わると次の作業に進みます。

仕事には段取りが付き物です。「段取り8割」などと言いますが、走りながら考えていたのでは、段取りなどできるわけがありません。

 

「走りながら考える」が常習化した組織では「飛込み業務」が多発します。

計画嫌い人たちは計画否定の理由に飛込み業務を挙げます。計画したところで、飛込みが多すぎて計画通りには進まない。だから計画は意味を成さないというわけです。

皮肉なことに、こんな計画嫌いの人たちが、自らの手で周囲の人たちに飛び込み業務を発生させてしまい、業務遅延問題の張本人となってしまっているのです。

一方で「飛び込み業務が多すぎて仕事がなにひとつ計画通りに進まない」と嘆きながら、もう一方で他人に飛び込み業務を押し付けている、なんと不条理なことでしょう。

 

この状況を「理解に苦しむ」と言いたいところですが、私には理解できます。

なぜなら、多忙を極める人間は自己中心的になりがちだということを身に染みて感じているからです。極限状態に陥ると、知らず知らずのうちに被害者意識に見舞われるものです。

「自分がこんなに忙しいのだから、周囲が手を貸してくれるのは当たり前だろう」

そう思ってしまいます。

こうして被害者は、平気で他人に飛込み業務をブッ込む加害者となってしまうのです。

被害者=加害者、これでは誰も救われません。

 

こうなると、職場は殺伐とした雰囲気に包まれます。

 

鈴木 「明日のお客さんとの打ち合わせに間に合うように資料をまとめてもらえませんか」

前田 「えっ、急すぎますよ」

鈴木 「この資料が無いとお客様を説得できないのです」

前田 「そんなこと言われても困ります。プロジェクト業務が遅れてしまいます」

鈴木 「プロジェクトが1日遅れたくらいなら後でなんとかなるでしょう。この資料を作れるのは前田さんだけなのです。これはあなたの業務です」

前田 「… 」

 

この状況を解決するには「計画」しかありません。

 

「私ひとりが計画したところで解決にはなりませんよ」

 

そんな理由でためらっている余裕はありません。ひとりひとりの自覚が大切なのはその通りですが、誰かが始めるしかないのです。

ためらっているうちに、組織は崩壊してしまいます。

 

もちろん、計画がすべてを解決できるわけではありません。

計画しただけで満足してしまう人もいますが、それではダメです。計画を立てたら、それを活用しなければいけません。

まずは、立てた計画をしっかり眺めてください。そして、いつ頃にどんな段取りが必要なのか考えてみてください。段取りが明らかになったら、それを計画の中かアクションアイテム(AI)リストに書き込みましょう。

あとは毎朝、これを確認するだけです。

 

忙しくなると、段取りを後回しにして、自分が手を動かす業務に没頭してしまうものです。段取りにはコミュニケーションが付き物で、それには普段使っていないエネルギーが必要となるからです。

段取り業務は寄り道です。急いで家に帰ってゆっくりしたい人たちにとって、寄り道は禁物なわけです。

 

せっかく立てた計画です。エイッと掛け声をかけて、いったん道を外れてみてください。いつもの不満顔とは違う、仕事に前向きな仲間が待っているはずです。

 

鈴木 「2週間後までにこんな資料を作ってください。私たちの考えをお客様に理解していただくのに必要です。Bさんもそう思いますよね?」

前田 「もちろんです。来週の予定に入れておきます。できるときにやっておかないとね」

鈴木 「ご協力、ありがとうございます。助かります。要望があれば言ってください。いい結果を出しましょう」

 

めでたし、めでたし。

 

 

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