私は計画の大切さを説いてきました。そんな私が言うのもなんですが、計画に時間を掛けすぎてはいけません。なぜなら、計画が成果物を生み出すわけではないからです。
私は仕事がら、計画を生業としているベテランたちの集いに参加することがあります。年配のプロジェクトマネージャの皆さんや、プロジェクトマネージャを勇退してアドバイザーとして活躍されている皆さんが集まる会合です。その中には、組織内に計画の大切さを訴求する立場にある方もいらっしゃいます。
そこでの会話のトーンはこんな感じです。
「とにかく計画にはたっぷりと時間をかけるべきだ」
「計画には人を掛けなければならない」
「計画さえしっかりとやっていれば問題は起こらない」
果たしてそうでしょうか…
計画軽視の文化がはびこる組織では、このくらい極端な指導法が必要なのかもしれません。しかし、このような発言が、計画の大切さを受け入れきれない人たちの不満を増幅させているのも事実です。
私はよく、こんな陰口を耳にします。
「計画おじさんたちは現場の惨状なんて理解していない」
「こんなこと(計画)をやっていたら設計が終わらないよ」
「やらなきゃいけないことは、計画しなくても分かっているのに」
※ 計画おじさん=現場を退いた後も計画自慢で息巻く年配者を陰で揶揄する呼び方
愚痴のようなものですが、彼らの言い分にも一理あります。
成果物は “実行” から生み出されるのであって “計画” からではありません。計画に過剰に時間をかけたところで、成果物ができあがるわけではないのです。
勘違いしないでください。
そうは言っても計画は必要です。
実行によって成果物は生み出せたにしても、約束した期限までに、想定したコストの範囲内で、求められる機能・性能・品質を実現するためには計画が欠かせません。
私のこう考えています。
- 計画しなくてもゴールを達成できるのであれば、計画は必要ない。繰り返し生産などはコレ。
- なんらかの新規性を内包する取り組みでは、計画なしにゴールを達成することはできない。たいていのプロジェクトはコレ。
- とはいえ計画は成果物を生み出さないので、プロジェクトであっても、計画に時間をかけ過ぎてはいけない。
計画は効果的でなければなりません。
効率性を欠いた計画は現場の反発を招きます。
「まわりが計画の大切さを理解してくれない」と嘆く前に、ぜひ効率性に目を向けてください。計画の大切さを声高に叫び続けるだけではダメです。
以前に目にした米国の調査資料は、計画コストが全体コストの5~10パーセント程度のときにトータルコストは最小になると結論付けていました。
私の結論はこうです。
「計画作業は効率的でなければならない」
これが計画のあるべき姿です。
私がプロジェクトマネジメントにMicrosoft Project(マイクロソフトが提供するプロジェクトマネジメント支援ツール)を推奨するのも効率化のためです。プロジェクトマネジメントにExcelは非効率です。
私はマイクロソフトに7年間勤務していましたが、このときのミッションはMicrosoft Projectを購入したお客様にMicrosoft Project活用を定着させることでした。そのときの旗頭は「効果と効率化の両立」だったわけです。
私は今も、プロジェクトマネジメントの「効果と効率化の両立」に取り組んでいます。
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