計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

計画は「習慣(基本行動)」から ~ ガバナンスの弱い日本の組織を大掛かりな「仕組み」だけで動かすのはかなり難しい ~

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そのころ私は、ある組織のプロジェクトマネジメント力底上げに向け、プロジェクトマネジメント基本行動の定着を指導していました。収益性悪化の原因がプロジェクト運営の乱れにあると判断したお客様からの依頼でした。

 

調べてみると、技術者ひとりひとりの技量に任せたこれまでのプロジェクト運営や閉鎖的な働き方は、もはや組織の文化や価値観として、ひとりひとりに染みついました。プロジェクトマネジメント強化を声高に叫んだところで、現場にとってはどこ吹く風でした。

 

「これは口で言ったくらいではダメだな」

 

そう考えた私が着目したのが「基本行動」でした。なぜなら、ひとりひとりの内面の変化が重要だと考えたからです。そのためには複雑で大掛かりな仕組みではなく、基本行動のようなシンプルさが大切です。

 

[プロジェクトマネジメントの基本行動]

  • あらかじめ、作業ベースでしっかりと計画する。
  • 実績をもとに週次で計画を更新し、顕在化した遅れや過負荷などに手を打つ。
  • 計画に挙げられた作業に専念する(計画にない作業はやらない)。

 

私は基本行動を「習慣」と捉えました。スキルを身に付けるのは「学習」や「訓練」だとするなら、基本行動を身に付けるのは「習慣」です。

「計画すると何がいいのか」などと理屈をこねるまでもなく、三度のメシのように、計画を当たり前の存在にしたかったのです。私たちは、計画の大切さ云々の説明が不要な組織を目指しました。

 

さて、そこで悩んだのが習慣づけるための方法です。しかも今回の習慣づけは躾(しつけ)の要素もかなり含んでいます。子供ならいざ知らず、大人を躾けるのは容易なことではありません。

 

  頭で理解させたところで習慣づけには効かない

  習慣づけたいなら、体や行動で覚えさせなければならない

  躾けたいなら、成功体験は欠かせない

 

そこで目を付けたのがMicrosoft ProjectというITツールでした。Microsoft Projectはマイクロソフトが提供するプロジェクトマネジメント支援ツールで、プロジェクトマネジメントのノウハウや世界中のプロジェクトマネージャの成功体験が根底にあります。

私はMicrosoft Projectを彼らのプロジェクト活動の中に埋め込むことを思いつきました。

「毎週、決まったタイミングで進捗会議を行い、そこでMS-Projectを操作する」

大切なのは「理屈」ではなく「行動(体を動かす)」です。MS-Projectを操作するという具体的な行動は習慣につながると考えました。

 

このアプローチはまんまと当たり、私たちは、プロジェクトで日々発生している問題の見える化に成功しました。週次の進捗会議を通じて問題や問題の卵が顕在化し始めたのです。

 

とかく私たちは、課題解決を仕組みやルールと結びつけがちです。ところが、そこにはガバナンスの裏付けが必要です。これを見落としてしまってはいけません。ガバナンス欠如の日本の組織が欧米型の変革で成功しないのは、これが原因です。

今回はプロジェクトマネジメント力強化を題材にしたわけですが、課題解決はどれも同じです。

 

私は長年にわたり、ガバナンスに頼らない課題解決のあり方を探究してきました。その結果、到達したのが「習慣」です。

私がこう提案すると、幹部たちは「時間がかかりすぎる」といい顔をしません。仕組みを作って現場に強制するほうが手っ取り早いと考えるのです。

「私たちは待てない」が決まり文句です。

 

ところが、結果がものを言い始めます。時間をかけて作り上げた仕組みの多くが定着せずに放置されるからです。そんなときはぜひもう一度、自らの組織と手本にした組織の文化的な違いついて考えてみてください。

 

「浦さん、習慣の話、もう一度しませんか?」

 

このひと言を待っています。

プロジェクトマネジメントなら、なおさらです。

なぜって? なんせ私は、MS-Project実践活用術では日本一を自負していますから(笑)

 

 

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