計画の技術

「小手先ではなく、すべての計画領域に共通する根本的な計画力があるはずだ」

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が社会風刺の中で問い掛けた「計画」の是々非々

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2週間前の三連休に、私は韓国映画「パラサイト 半地下の家族」を観てきました。ソン・ガンホ主演の話題作です。韓流ドラマには興味はありませんが、韓国映画は大好きです。これまでにも「コクソン」「スパイダー・フォレスト」「オペレーション・クロマイト」など秀作ぞろいで、何度も観なおしているものもあります。

この映画もご多聞に洩れず、すばらしいものでした。韓国の格差社会の問題点を見事に映像化していて、物語の展開力は日本やハリウッドでは到底真似できないと感じました。

名優ソン・ガンホ扮する失業中の父親(キム)とその妻(チョンソク)、息子(ギウ)、娘(ギジョン)の4人家族は、繁華街の半地下住居で貧しい生活をしています。ギウとギジョンは大学進学を目指していますが、ギウはすでに4度、大学入試を失敗しています。

ギウが大邸宅に住む富豪の娘の家庭教師になったことをきっかけに、この家族はどん底生活から抜け出すかにみえたのですが… 

 

ところで「計画力ブログで、なぜ韓国映画の紹介なの?」と思われる方も多いはず。

実はこの映画の中で「計画」の是々非々がフィーチャーされているのです。

 

キム一家は、綿密な計画がズバリと当たり、明るい将来が目前でした。ところが、羽目を外しすぎた一家にとんでもない出来事が襲い掛かります。絶体絶命の状況からなんとか抜け出したキムはギウにこう言います。

 

「俺には計画がある」

 

そして、計画について問いただすギウにこう続けます。

 

「その計画は、『無計画』だ」

「もう計画なんてしない。計画しなければ失敗することはない。人生なんて、どうせ計画通りにはいきやしない」

 

ところが、計画を捨て場当たり的な行動に走った一家は、さらに凄惨な事件に巻き込まれてしまいます。

ネタばれになるので詳しくは書けませんが、もとの貧乏生活に戻ったギウは最後のシーンでこう言います。

 

「次は、うまくいく計画を立てる」

 

ギウの空しい表情からは、格差社会の中での空しい空想とも受け取れますが、計画の顛末はわかりません。計画を立てた瞬間は、程度の差こそあれ半信半疑なものです。大切なのは、でき上った計画を使ってどれほど深く考えを練ることができるか、そして何を意思決定できるかです。計画の真価は、それにかかっています。

ギウは学んだのかもしれません。

「計画通りにはいかなくても、計画は大事だ」と。

 

私たちの周りにも、このような状況はよくあります。

「計画したところで、どうせその通りにいくはずがない」

計画を放棄した人たちが口々にこう言います。

 

確かに、計画通りにものごとは進みません。計画を止め、ひどい目に合ったとしても「計画しておけばよかった」と思うギウのような人はごくわずかでしょう。なぜなら、私たちは「計画した場合の結果」と「計画しなかった場合の結果」を比較できないからです。計画しなかった人は、計画した場合の結果を知ることはできません。もっと良い結果が出たかもしれませんが、違いはなかったかもしれません。下手をすると、計画したことでさらに悪い結果になった可能性も無くはありません。

「計画したところで同じだったに決まっているさ。それが韓国の格差社会だ」

そう思う人が多いのも不思議ではありません。

 

しかし、私は知っています。

計画をしたほうが、計画をしないよりはいい結果をもたらします。戦略性や課題に直面した際の突破力が格段に増すからです。

計画通りにうまくいくから計画を立てるわけではありません。計画通りにいかないときでも、目標達成の確率を高めるために計画をするのです。再計画を通じて、私たちはゴールを目指せるのです。

 

実は、この三連休の初日は「新しい地図」の草彅剛(つよぽん)が主演した「アルトゥロ・ウイの興隆」の舞台を観てきました。

仕事とブログで解放感に欠ける週末を過ごすことの多い私ですが、この週末は心底リラックスできました。

 

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